CDK12は転写の伸長に関与するサイクリン依存性キナーゼである。RNAポリメラーゼIIのC末端側をリン酸化し、サイクリンKと複合体を形成することで、DNA修復関連遺伝子の発現を制御しゲノムの安定性の維持に機能する。CDK12の制御下にある遺伝子にはBRCA1, FANC1, FANCMなどの相同組み換え修復関連の遺伝子が含まれている。そのため、CDK12の阻害によりそれら遺伝子の発現を低下させ相同組み換え修復異常の状態 (BRCAness)を誘導することで、DNA傷害性の薬剤およびPARP阻害剤に対して感受性の環境を作る新たな治療戦略が検討されている。