NKX2-1は転写制御因子であり、肺では肺の表面張力の緩和や感染防御に働く肺サーファクタントの発現を制御している。肺腺癌におけるNKX2-1恒常的な発現は、その遺伝子増幅と関係していることが知られている。また、NKX2-1による直接的な制御により転写が誘導される遺伝子として受容体型チロシンキナーゼROR1が報告されている。ROR1は、細胞増殖に関与するPI3K/AKT/mTORシグナルの活性化とアポトーシス促進性のp38シグナルの抑制に働くことで、肺腺癌の生存シグナルの伝達を担っていることが報告されている。