SOX2は転写制御因子であり、胚性幹細胞および神経幹細胞の維持に必須であるだけでなく、人口多能性幹細胞 (iPS細胞)の作成にも使われるなど、幹細胞性において需要な遺伝子である。SOX2は、がん幹細胞性の維持に働くことでがんの発生に関与することが複数のがん種において報告されている。また、食道がんは腺癌および扁平上皮癌に大きく分類されるが、SOX2は扁平上皮癌への過程に関与していることが知られている。SOX2の遺伝子増幅は、神経膠芽腫、小細胞肺癌、および多くの扁平上皮癌において認められる。実験的検討において、SOX2の遺伝子増幅・過剰発現はPI3K/Akt/mTORシグナルの活性化引き起こすことで腫瘍原性を示し、その影響はPI3K/Akt/mTORシグナルの阻害剤により抑制されることが報告されている。