STK11 (LKB1)はmTORI型複合体 (mTORC1)の活性を間接的に抑制するセリン/スレオニンキナーゼである。STK11は腫瘍内のエネルギー欠乏による代謝ストレスや低酸素状態に反応して活性化され、リン酸化により下流のAMPKを活性化する。続いてAMPKはRheb抑制因子TSC1/TSC2複合体のうちTSC2の活性化リン酸化部位である1227番目のチロシンおよび1345番目のセリンをリン酸化することでその抑制機能を活性化させRhebの活性低下を誘導し、mTORC1の活性を低下させる。機能失活型の体細胞変異は、肺腺癌において高い頻度で検出される。生殖細胞系列変異は、消化管に多発性の過誤腫性ポリープを生じさせるポイツ・ジェガーズ症候群との関連が報告されている。KRAS変異を有する非小細胞肺癌症例において、STK11の変異を同時に有する場合、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果が低いことが報告されている。